2010年8月アーカイブ

「第1回千曲川エコツアー」に参加して

梅雨明けを迎える日本列島をゲリラ豪雨が襲い、各地で深刻な被害が相次いでいる。5月28日に10名で訪れた千曲川流域・飯山盆地は大丈夫だったろうか。現地を案内してくださった飯山市議会議員の大野峰太郎さんをはじめ、地元の「水害・治水を考える会」の皆さんが危惧しておられる、「西大滝ダムによる塞ぎ上げがもたらす洪水」が、この夏にも現実になりはしないか。その巨大なコンクリート壁と鉄パイプ群を目にしたのは、小布施(北斎が晩年を過ごした景勝の地)から始めて、馬曲(まぐせ)温泉(木島平村)の風呂や管理棟などの電力をまかなう小水力発電施設(2kw+95kw)を見学した後だっただけに、その対照が目に焼き付き、心を離れない。

3348rev1.jpg

だが、その夜一泊した彩りの宿「かのえ」での宴席で、女将の極上の手料理とともに、ご長男の庚敏久さんから、カヌー・スクールで実践している見事な環境・地域再生教育のお話も伺えて、千曲川への熱い思いが世代をつないでる様に希望を感じた。翌日は日本の棚田百選にも選ばれている、福島棚田の里を訪れたが(映画「阿弥陀堂だより」の舞台であり、その堂の建物は保存されていた)、千曲川を広く見渡せる素晴らしい景観を楽しむ一方、高い所の棚田ほど耕作放棄が目立っている現実が痛々しかった。

北信濃の旅の最後は、「千曲川・信濃川復権の会」の設立総会と記念講演会で締めくくられた。総会では、同会の立ち上げに奔走されてきた共同代表のお一人、矢間秀次郎さんの、「水基本法」「ダム撤去推進法」にかける迸るような熱意の表明に改めて心を打たれた。また、高橋裕さん(東大名誉教授)の講演は、歴史の事例を紹介しつつ、日本に「公水」「水と共生する社会」の考え方を軸に据えた総合的な水行政が不在である点がいかに問題を大きくしてきたかを照らし出していた。一泊二日といえども、長年の蓄積を活かして周到に準備された体験ツアーが、どれほど濃密で印象深いものとなるかを、今回の参加者の皆さん全員が実感したことだろう。■

【上田昌文(NPO法人市民科学研究室・代表)】

(「千曲川・信濃川復権の会」会報『奔流』第2号2010年8月25日所収、写真は古川英夫さんから提供されたものを使わせていただきました。)

このアーカイブについて

このページには、2010年8月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2010年7月です。

次のアーカイブは2010年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。