2015年8月アーカイブ

さる5月10日(日)に行われました、対面交渉型・生活習慣病対策ゲーム「ネゴバト」を使ったワークショップの報告が、以下のページに掲載されましたので、お知らせいたします。

これは、第32回みんくるカフェ「ゲームを通して生活習慣を見直すをきっかけを作ろう!」のなかで実施されたもので、市民科学研究室と「みんくるプロデュース」のコラボ企画です。

いま、いろいろな方から次第に注目されるようになってきました「ネゴバト」の、一つの活用事例として、参考にしていただければ幸いです。

第32回みんくるカフェ「ゲームを通して生活習慣を見直すきっかけを作ろう!」

2015年4月5日に実施して大好評だった、岡本正子さんをお招きしての料理講座。その第2弾を実施します。

今回は、誰でも簡単に作れて、"爽やか元気"の得られる、家庭向け薬膳料理の数品を一緒に作り、その栄養的価値を紐解いてみます。

また、市民研がすすめている「子ども料理科学教室」を、大人を含めた幅広い層に向けて地域の中で展開していく方策、そして、食への関心が新たな人々とのつながりを生む新趣向のレシピサイトの立ち上げ......などを紹介し、斬新な角度から「食と健康」について考えてみる機会にもしたいと思っています。

日曜日の午後のひとときに、大いに腕をふるって美味しく食し、大いに語り合いましょう。


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岡本正子さんの「ごはんBLOG」より ある日の夕食


岡本正子さんと料理を作り、食と健康を語り合う
テーマ「秋の薬膳(台所薬膳)」

特別な生薬を使わず、身近にある食材で作ります。それで、誰にでも作れるという意味で「台所薬膳」としました。秋の邪気は、燥(乾燥)ですので、それに適したメニューと
なります。

メニュー
・長いもと銀杏の炊きこみご飯
・豆腐とホタテのかき玉スープ
・きのこと豚肉塩麹蒸し
・小松菜と菊花の胡桃あえ
・梨と白きくらげのコンポート

●日時●2015年10月4日(日)午後1時から午後5時半(調理開始は午後1時半から)

●場所●新アカデミー向丘 料理実習室
   文京区向丘1−20−8 tel.:03-3813-7801
   メトロ南北線「東大前」駅より徒歩1分 
●参加費●2000円(定員20名)

●用意するもの●エプロン 場合よって若干の調理器具

●参加申し込みサイト
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★岡本正子さん 自己紹介★

料理が大好きな管理栄養士です。子ども3人を育てながら40歳で栄養士の資格を取り、47歳で、管理栄養士の国家試験に合格しました。西洋栄養学だけでは、「食」はカバーできないと思い、薬膳を学び、国際薬膳師の認定資格もとりました。これが天職と思い、楽しく仕事をしています。「ごはんBLOG」をご覧ください。

NPO法人市民科学研究室 主催  市民科学講座Aコース 第2回

毒性学からみた放射線の人体影響

2015年10月3日(土)14:00~17:00 (開場13:30 )

講師 菅野 純 さん
  (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部部長)

■文京区 アカデミー文京 学習室
 (文京シビックセンター地下1階 東京メトロ「春日」「後楽園」駅すぐそば)
■資料代1000円(学生500円)
■定員60名 市民研HPから、あるいは電話で予約いただけると幸いです

チラシはこちらから→ad20151003_csij_kanno.pdf


放射線の被ばく量100mSvまでは、発がんのリスクはないのか?
放射線は、タバコや運動不足・野菜不足のもたらす害より小さいと安心してよいのか?
放射線の健康影響は「がん」だけか? 
放射線のホルミシス効果はあるのか(低線量放射線は健康に良い)?......

東電福島原発事故の発生以降、100mSv以下の放射線の健康影響は取るに足らないものであるかのような主張が、政府広報や放射線専門家、がん医療の専門家などから続々と現れ、現在に至っています。では放射線・放射性物質を生体に対する毒性物質のひとつとしてみたとき、その有害性はどのように考えるべきなのでしょうか。低用量の環境有害物質の影響研究の第一人者である菅野純氏に、放射線の人体影響について「毒性学」の観点からお話ししていただきます。

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●講師紹介
菅野 純さん(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部 部長)

東電福島第一原発事故の発生以降、政府広報や放射線専門家、あるいはがん医療の専門家によって、「100mSv以下の被ばく線量では、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しい」といったことが繰り返し語られています。
 このような状況のなかで、放射線の及ぼす健康影響は放射線専門家の枠内だけの議論ではなく、微量の化学物質に対する「毒性学」が培ってきたように、「予期せぬ影響をも見逃さないアプローチが必要」であり、各ステークホルダー(利害関係者)が集う「円卓会議」設置の必要性を2011年の段階から訴えてこられたのが菅野さんです。実際、環境ホルモン学会においても「環境ホルモンから見た放射能汚染」(2012年)や「震災・原発事故による野生生物への影響」(2014年)といった講演会やシンポジウムを企画・実施され、2015年には日本毒性学会学術年会において低線量放射線の問題を取り上げるなど、放射性物質と化学物質の複合影響も視野に入れ、分野横断的な討論の機会づくりに努められています。
菅野さんは医薬品や食品をはじめ生活の中におけるさまざまな物質の毒性研究が専門です。なかでも、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)など、微量な毒性物質が生体内の細胞間の信号系統をかく乱する「シグナル毒性」研究における第一人者であり、世界各国の毒性学の連合体である国際毒性学連盟の次期会長にも選出されています。

お申込み&お問い合わせは
NPO法人市民科学研究室 までお願いします
電話:03-5834-8328 FAX:03-5834-8329
メール:renraku@shiminkagaku.org

2015年7月から始まった市民科学講座Bコース。第Ⅰ期は 2015年7月から2016年6月までの1年間で、全14回です(毎月1回、8月と3月は2回)。その第4回として、ゲスト講師に五島綾子さんを迎えます。

第4回

五島綾子さん、
「科学ブーム」って誰がどう仕掛けているんですか?

チラシはこちら→ad_bseminar_04_20151025.pdf


2015年9月25日(金)18:30~21:00(18:00開場)
光塾COMMON CONTACT並木町     
参加費:1000円(学生500円)
事前予約が必要です(定員40名、先着順、申し込みは下記に記したサイトより)


●ゲスト プロフィール

五島 綾子(ごとう あやこ)
薬博、理博。スイス連邦工科大学高分子科学研究所客員教授(1993)、静岡県立大学経営情報学部助教授(1998-2001)などを経て、同大学教授(2002-2008退官)。IUPAC Fellow。市民科学研究室会員。専門はコロイド化学、化学史、科学技術論。おもな著作に『ブレークスルーの科学』(日経BP社 2007、パピルス賞受賞)、『ナノの世界が開かれるまで』(共著、海鳴社2004)、『〈科学ブーム〉の構造 科学技術が神話を生みだすとき』(みすず書房2014)監訳書にベルーベ『ナノ・ハイプ狂騒』(熊井ひろ美訳、みすず書房2009)、編著にIUPAC-NIST Solubility Series(AIP, 2011)ほか。

●講座で主に取り上げる、ゲストの著作
『〈科学ブーム〉の構造 科学技術が神話を生みだすとき』(みすず書房2014年)


●進行役の上田(市民研・代表)より
科学研究には金がかかる。どんな研究にいかなる成果を期待してどれだけの金をかけるか―そのことの、適正で誰もが納得のいく決め方を、いまだどの国も見出していないように思える。一方、科学技術での覇者である国が国際的にも優位に立てる、という世の中であるため、多くの国において行政サイドが科学技術政策によって達成目標を掲げ、それに応じて大規模な資金を重点的に配分することが慣わしとなった。かかる状況で大きな役割を果たすのが、「"奇跡の"科学技術◯◯◯」が実現するだろうことを社会に印象付ける「科学ブーム」の勃興である(例えば90年代~2000年代では◯◯◯はナノテクノロジーだったと言えるだろう)。いくつかの科学ブームの例を取り上げて、その仕掛けから幕引きまでを調べると、行政、研究者コミュニティ、企業、ジャーナリズム、市民のそれぞれが何を担い、何を共有し、何を議論できるようにしておくべきかが、みえてくるのではないか―五島綾子さんの『〈科学ブーム〉の構造 科学技術が神話を生みだすとき』で示されているデータや分析を手がかりに、科学技術を育て方向づけることにまつわる諸問題を、著者とともに考究してみたい。


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・当日参加できない方でこの講座のu-stream 配信を希望される方は、直接その旨を、市民科学研究室事務局(renraku@shiminkagaku.org)までお伝え下さい(「こくちーず」での「申込み」はしないでください)。なお、このサービスは、市民科学研究室会員(会費納入済みの方)にだけ提供しています。
・ゲスト講師から「招待」を受けている方は、上記「こくちーず」の申込フォームに書き込む際に、お名前に「招待パスワード」を添えて記入してください。

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●市民科学講座Bコースとは
・科学と社会"をめぐって幅広いテーマをとりあげての、あるいはゲストの活動や言説に焦点をあてての、参加者と自由に語り合う講座です。
・進行役になる上田(市民研・代表)を含め、参加者と双方向での充実した議論ができるよう、大いに工夫をこらした講座となります。ぜひ会場にいらして熱いライブの輪に加わってください。
・投影資料、配布資料の一部やイベント報告は後に公開されますが、全体の映像は市民科学研究室会員にのみu-stream で無料配信されます。この機会にぜひ市民科学研究室会員にご登録ください。

●市民科学講座とは
市民科学研究室が主催(あるいは共催)する市民科学講座は次の4つのコースがあります。

Aコース
外部講師(主として自然科学系の研究者)を招いて、特定のテーマで行う学術的な講演会
Bコース
"科学と社会"をめぐって幅広いテーマをとりあげての、あるいはゲストの活動や言説に焦点をあてての、参加者と自由に語り合う講座
Cコース
市民研の各研究会が担う、研究発表もしくは様々な形でのイベント
Dコース
市民研事務所を使って軽食をとりながら、ゲストと少数の参加者との間で交わす気さくな談話の場

市民研「市民と防災」研究会とbabycomの共催で、葛飾区において3回連続の防災ワークショップを実施します(第1回は6月28日に実施しました)。このワークショプは、葛飾区の地域振興部・防災課と、NPO法人「さんばはうす葛飾」にご協力をいただいています。


ワークショップ「防災パレット in かつしか」
第2回

大地震から命を守るシミュレーション
~その時、あなたはどう避難する? 家族は無事に再会できる?

2015年9月13日(日)10:00~12:00(9:30開場)
葛飾区 ウイメンズパル3F 学習室
(葛飾区立石5-27-1 電話:03-5698-2211)     
資料代:500円
事前予約が必要です(定員30名)

対象:葛飾区や周辺にお住まいの妊娠中の方・子育て中の方
※葛飾区以外にお住まいの方は、お住まいの地域のハザードマップをご持参ください。
※子連れでの参加もできます。但し託児施設はありませんので、お子様から目をはなさないようにお願いいたします。

チラシはこちらから→bousaiWS02.pdf

ハッピーエンドの防災物語をつくろう
 想像したことがある場面では、すぐに行動できるけど、「想定外」の事態に直面したら、だれもがパニックになって固まってしまうもの。1分1秒が命の危険を左右する大地震時、そうならないために欠かせないのが「イメージトレーニング」です。
 第2回は、災害状況イメージトレーニングツール「目黒巻」を使ったワークショップです。地震に遭ってしまった状況をリアルに想像しながら、自分を主人公にした災害物語をつくります。無事に避難し家族の再会が果たせたら、メデタシメデタシ。ハッピーエンドの物語が完成すれば、わが家の防災力も格段にアップしているはず。親子で考えれば、防災教育にもバッチリです。


【ワークショップの内容】
前回でのワークショップでいただいた質問をふまえての、地震に関する簡単なレクチャー/グループで、大地震の際のいくつかの出来事・条件を想定しての「防災絵巻」作り/「わが家の避難」を想定しての個別の「防災絵巻」作り

※内容は変更になることがあります。詳しくはbabycomのホームページで。

お申込み&お問い合せは以下からサイトから

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『市民研通信』第31号(2015年7月、通巻177号)を発行しました。
以下のリンク先から全文を読むことができます。

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表→表示
裏→表示


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■第16回市民科学講座 講座記録
呼吸器系疾患は減らせるか ~大気汚染の変遷から読み解く
講師:嵯峨井 勝
  (つくば健康生活研究所代表、青森県立保健大学名誉教授、
   元国立環境研究所大気影響評価研究チーム総合研究官)


塩の魅力にとりつかれて
田中園子(solco代表、ソルトコーディネーター)


レミングたちの行く手  Lemming, Whither are they going?
橋本正明(市民研・会員)


STAP細胞事件は解決したのか─その検証を検証する(その2)
林 衛(科学ジャーナリスト、富山大学人間発達科学部)
榎木英介(病理診断医、 任意団体サイエンス・サポート・アソシエーション代表)


連載「博物館と社会を考える 」第2回
博物館はいくつありますか?
林浩二(千葉県立中央博物館)


連載「学問へススメ ~技術系営業マンの学位取得奮闘記~」第12回(最終回)
特許を書こう
佐藤 隆(市民研・会員)

『市民研通信』第19号からの連載
「学問へススメ~技術系営業マンの学位取得奮闘記~」
が第12回で完結しました。

全回の原稿を以下に掲載いたします。


連載第12回(最終回)はこちらから→csijnewsletter_031_satoh_20150625.pdf


連載第11回 PDFはこちらから→csijnewsletter_030_satoh_20150604.pdf


連載第10回 PDFはこちらから→csijnewsletter_029_satoh_20150220.pdf


連載第9回 PDFはこちらから→csijnewsletter_028_satoh_20141216.pdf


連載第8回 PDFはこちらから→csijnewsletter_027_satoh_20141027.pdf


連載第7回 PDFはこちらから→csijnewsletter_026_sato_07_20140828.pdf


連載第6回 PDFはこちらから→csijnewsletter_025_satoh_06_20140619.pdf


連載第5回 PDFはこちらから→csijnewsletter_024_satoh_05_20140318.pdf


連載第4回 PDFはこちらから→csijnewsletter_022_satoh_04_201401.pdf


連載第3回 PDFはこちらから→csijnewsletter_021_satoh_03_201311.pdf


連載第2回 PDFはこちらから→csijnewsletter_020_satoh_02_201309


連載第1回 PDFはこちらから→ csijnewsletter_019_satoh_01_201307


皆さんからのご意見やご感想をお寄せいただけると幸いです。

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学問へススメ
~技術系営業マンの学位取得奮闘記~

第12回(最終回)

佐藤 隆(市民研・会員)

~特許を書こう~


連載「学問へすすめ」も今回で最終回。12回に渡りお付き合いいただき読者の方々に感謝申し上げる。最終回は特許について書きたいと思う。昨年青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞された中村修二先生(以下、中村さん)と当時所属されていた会社(日亜化学工業)との特許訴訟はマスコミにも大々的に取り上げられ多くの中村さんの著作にも紹介されている。中でも「真相・中村裁判(升永英俊、中村修二日著、経BP社、2002年)」は、読んでいて「そんな!ばかな!何てこった!あり得ない!」の連続で凄く面白かった。表題の「中村裁判」とは、中村さんが日亜化学工業を相手に特許料の支払い等を求めた特許訴訟である。中村さんが書かれた特許の特許番号が第2628404号であったことから、下3桁を取って404特許訴訟と呼ばれるが、この訴訟裁判の判決の結果、多くの日本企業が従業員に対する特許の権利規定を改め、技術系サラリーマンの権利(発明者に対する発明の権利配分)が明確化された。それまでは、多くの企業が従業員の発明の権利を曖昧に放置し、従業員発明者に対する権利規定すら無かった会社も多かったのである。

404特許訴訟の第一審で中村さんは日亜化学工業に対して200億円の特許のロイヤリティーを請求した。この一審判決(三村量一裁判長)では、中村さんの発明の対価を604億円と認定する驚きの判決が下った。その根拠の計算式を簡単に説明しよう。この604億円という巨額の対価計算は、特許が切れるまでに日亜化学が得るであろう推定売上金額6000億円に平均的特許ロイヤリティー率20%と中村さんの会社での寄与率50%を掛けたものであった。被告の要求額以上に支払い金額が高まることが無いので裁判所は中村さんが要求した満額の200億円の支払いを日亜側に命じたのである。これで裁判が終われば驚くべく結果となったであろうが、日亜化学は勿論すぐに控訴した。

二審の東京高裁(佐藤久夫裁判長)では、特許が切れるまでの日亜化学の青色発光ダイオードによる「利益」のより詳細な推定金額を算出しそれを120億円とした。さらに中村さんの貢献度を5%(6億円相当)とし、遅延損害金を含め8億4000万円を日亜が中村さんに支払へという和解を提案した。中村さんはカルフォルニア大学での仕事もあり和解を受け入れこの金額で決着した。それでも8億4000万円である。このような巨額の金額をかつて日本のサラリーマン技術者が特許の報酬として会社から勝ち取ったことがあっただろうか。この裁判は、例え会社が権利を持つ特許であっても、その特許を発明したサラリーマン技術者に大幅な権利を認める結果となったのである。

一審と二審では、日亜化学の中村さんへの支払い金額に20倍以上の金額差があるが、裁判を起こす前に中村さんが会社側から受けていた特許の報奨金は2万円といわれている。しかし、これは名目上の特許の報奨金であり実際には、ボーナスや給与の特別枠により11年間の合計で、同世代の一般社員よりも6195万円ほど多く支給されていたという。中村氏が退職する45歳時の給与所得は役員よりも多額で2000万円弱であったと言われている。このボーナスや給与の金額は、45歳の日本の会社のサラリーマン技術者としては、大手企業でも考えられない高待遇であり、さらにこの上に裁判で勝ち取った8億4000万円を会社側に支払わせた中村さんの業績は、日本の技術系サラリーマンに大きなエールを送るものとなったことは間違いない。特許の権利案件でこれから会社と戦うサラリーマンは、「製品の利益」x貢献度(中村さんの様な重要貢献人で5%)という前例に従い、堂々と会社に請求できるということなのである。

この裁判以前の日本のサラリーマン技術者の発明報奨金は、それこそお粗末極まりない実態であった。小職が以前勤めていた化学会社は、創業約100年の一部上場企業であったが、特許執筆時に、権利を無条件で全て譲渡しますという譲渡書を書くと3万円程度の報奨金が支払われ、特許が成立して使われ初めても年間数千円の奨励金が振り込まれるだけであった。その算定方法等は極めて複雑怪奇であり、営業の売上高や利益から計算しているとのことであったが全く理解できなかった。上司の説明では、給与やボーナスに上乗せしているので、特許報酬金としては低く、奨励金のような扱いなのだと言われた。このような現状が、中村さんの特許裁判の結果により大きく変わった。こんな裁判を従業員から起こされてはたまらないと会社側は思ったのか、多くのメーカーが特許報奨金規定を作り社員に公表し、発明者へのロイヤリティーの還元を明確化することとなったのである。私が属していた会社においては、この裁判の後、特許報酬金が上がり、一気に10倍ぐらいになった。それでも、数千円が数万円になったに過ぎず、会社にうまく丸め込まれたと思う技術系サラリーマンは今でも多いのではないかと思う。

【続きは上記PDFファイルでお読み下さい】

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