2016年4月アーカイブ

東京・多摩地域を中心とした市民活動情報誌(2002年創刊)である『市民活動のひろば』の第139号「特集:学び集う場をつくる!」(2016年4月)に、市民研の上田が書いた原稿が掲載されています。

原稿ページのpdf→shiminkagkaudouhiroba2016.pdf


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科学技術に市民の思いを生かしたい
~問題解決のためのネットワーク創りは「学び」から

上田昌文(NPO 法人市民科学研究室・代表)


●科学技術と社会にこだわって20年

 「市民科学研究室(市民研)って結局何をしているところなの?」―事あるごとにこう尋ねられるのだが、じつは代表を務める私が、「科学技術と社会」に関わる様々なテーマでの月 1,2 回の一般向け講座を企画・運営し、自身でも発表するという形で活動を立ち上げたのが 1992 年だから、そこから数えると市民研は 20 年以上の活動歴を持つ。それにもかかわらず、会員数はいまだ 300 名を突破できず、活動の趣旨を一言で説明するのが難しいという事情も相変わらず、といった NPO だ。「市民科学研究室」の名称を掲げたのは 2001年から、法人化したのは 2005 年からであり、現在では、東京都文京区の千駄木に事務所を置き、常勤の代表と事務局に加えて、理事メンバーや各種「研究会」の世話人合わせてスタッフ 10 名を擁し、年間数百万円規模の収支で活動する団体となっている。実施した調査研究や講座の成果や記録は、文章としてまとめて隔月発行の『市民研通信』に掲載しているが(年間 40 本前後の記事・論文・報告書などを公表している)、それらすべてをホームページで無償で公開しているのが大きな特徴でもある。「関心のある方には、会員であろうとなかろうと、読んで役立ててもらいたい」というこちらの思いを、恒常的に支援しようという方が、市民科学研究室に会費やカンパを送ってくださっている。

●科学技術をよりよい方向に導きたい

 改めて思い返せば、私たちの暮らしは、エネルギー、食、住まい、交通や通信、医療、環境といったさまざまな面で科学技術が深くかかわっていることに気付かされる。だとすれば、科学技術の行方をみすえ、それをよりよい方向に導くことに、私たち市民一人一人の思いが生かされるべきなのだが、それがなかなかかなわない。たとえば身近なハイテク製品や便利さをうたった技術に対して「これはほんとに大丈夫なの?」という気持ちをいだいたときに、ではその技術をどう理解し、不安や疑問をどう伝え、どう解決の道をひらいていけばよいのかが、簡単には見えてこない。

●専門的に踏み込み、市民の課題解決へ

 私たちは素人の知恵と力を結集して、あの手この手を使って、この難問に挑もうとしている。現在「低線量被曝(放射線)」「電磁波」「ナノテク」「食」「住環境」「防災」「科学コミュニケーション」「bending science(科学のねじ曲げ)」をテーマに掲げた各研究グループ(メンバーはどれも数名)が月に 1,2 回会合を開いて、調べたことを持ち寄って議論を重ね、専門家を招いての講座を企画したり、独自の調査をすすめたり(助成金を獲得しての場合もある)、政策提言をまとめたり、といったことを日常的にすすめている。何よりも大切にしているのは、専門的なことにも踏み込んで勉強し調査するが、それは「生活者/市民」にとって必要とされる問題解決のため、という姿勢を貫くことだ。環境や健康の様々なリスク因子や危機的状況に関して、特に弱者への対応の至らなさに目を向けて現行の政策の問題点を批判的に検証する、といった仕事を常に抱える一方、「子ども料理科学教室」による新しい食育(10 種の独自プログラムによる出前講座)、生活習慣病予防のための対面交渉型のボードゲームの開発・普及、ここ 2 年にわたって福島県各地
のいくつかの中学校で実施してきた「放射能リテラシーワークショップ」(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとの共同事業)、「健康まちづくり」の手法の調査と地元地域の行政や諸団体を巻き込んでの新規展開......といった新しいアプローチを他団体と連携して行うことも増えてきている。「学問的・科学的な詰めが甘くならないようにしっかり調べる」ことを堅持しつつ、「素人ならではの自由な発想を生かして面白いアイデアを具体化していこう」という柔軟さを持つことが大切で、とにもかくにも、少数ながらも深い関心・共感を持ってかかわってくださる方に常に恵まれてきたのも、このあたりに理由があるように思う。

●相談し・信頼できる仲間が最大の成果

 私自身はこの活動だけに専念できるようになって 10 年になるが、その年月を通して、様々な専門家、行政関係者、議員、企業、教育関係者、NPO......など、多くの人や団体と「何かあればいつでもお互い相談し合える」という関係を築くことができた。それが市民研の最大の成果だと思うし、私自身の人生の充実度もそのことで大きく決まってきたと感じている。この"財産"を仲間と共有し、社会のために生かすこと―市民科学研究室の活動は、「科学」の名を冠してはいるものの、詰まるところ、こうした「(問題解決に資する)信頼に基づくネットワーク」を創るためのものだ、と言える。このネットワークの創造には、新しい学問的知識を幅広く知ることにとどまらない、人や組織の関係性への洞察をも含む、不断の「学び」が不可欠であることは、きっと理解していただけるだろう。■

ご寄贈いただきました資料(2016年4月~)

市民科学研究室会員の皆様をはじめ、多くの方々からご寄贈いただきました書籍や資料を、一覧にして以下に掲げています。ご寄贈くださいました皆様に、心よりお礼申し上げます。

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「人間科学研究 ─日本大学生物資源科学部 人文社会系研究紀要─」(2016年3月/第13号)別刷『奇妙なねじれ ~"人間での生殖細胞系ゲノム編集"をめぐる賛否両論から~』粥川準二(ジャーナリスト)・著を著者の粥川準二様より

書籍『科学の危機』金森修・著(2015年4月・発行/集英社)を「金森修先生 お別れの会」主催者様より

書籍『衰退する現代社会の危機 ~縮小社会への現実的な方策を探る』中西香・著/松久寛・監修(2014年3月・発行/日刊工業新聞社)を会員の橋本正明様より

冊子『福島発の総合雑誌 ヴェルトガイスト・フクシマ』通巻5号(2015年11月・発行人/吉田邦吉)を著者の米田博様より

冊子『はかる、知る、くらす。 子どもたちを放射能から守るために、わたしたちができること。[コミック版]』(2014年3月)発行/こどもみらい測定所を発行元のこどもみらい測定所・石丸偉丈様より

羽田空港のこれから ~羽田空港の国際線増便に向けた取組み~』(発行/国土交通省・航空局)その他資料を豊島区の利倉佳子様より

冊子『ほうしゃのう きほんのき ~子どもたちのためにできること~』(2016年3月)発行/NPO法人子ども全国ネットを発行元のNPO法人子ども全国ネット様より

市民版環境白書2016 グリーン・ウォッチ』(2016年5月)発行/グリーン連合を発行元のグリーン連合様より

報告書『今日に至る医療機器産業の形成過程 ~歴史的変遷からの構造的要因考察~』リサーチペーパーNo.16(2015年7月)発行/公益財団法人医療機器センターを発行元の公益財団法人医療機器センター様より

東京都防災ガイドブック』(2016年3月)発行/東京都総務局総合防災部防災管理課を会員の石坂信之様より

『平成27年 室内環境学会学術大会 講演要旨集』(2015年12月)発行/一般社団法人室内環境学会を会員の橋本正明様より

冊子『R水素 ~再生可能エネルギーと水による地域循環型エネルギーのかたち』発行/R水素ネットワークを光塾の松尾憙澄様より

ハンドブック『みらいへのとびら ~知って、考えて、話してみよう 自分のこと、みんなのこと、放射能のこと』(2016年4月)発行/公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを発行元のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン様より

書籍『女子高生アイドルは、なぜ東大生に知力で勝てたのか?』(2016年3月)村松秀・著、発行/講談社を著者の村松秀様より

『Science Window』春号(2016年4-6月)、『Science Window 子ども版 ~もっと知りたい!遺伝のこと』(2016年3月)発行/独立行政法人科学技術振興機構を発行元の独立行政法人科学技術振興機構様より

報告書『キッズウィークエンド@北杜&青梅8 ~福島子ども保養ツアー 2015.8.20~23』発行/ブンブンの会NPO法人ポラン広場東京Earth Day Tokyoを発行元のNPO法人ポラン広場東京様より


過去にいただいた寄贈資料はこちら

寄贈資料(2015年度)
寄贈資料(2014年度)
寄贈資料(2013年度)
寄贈資料(2012年11月~2013年3月)
寄贈資料(2012年7月~10月)
寄贈資料(2012年4月~6月)
寄贈資料(2012年1月~3月)

市民科学研究室で2013年に、健康影響に関わる部分であるその第3章と第4章を翻訳した『ウクライナ政府報告書』の完訳が、京都大学原子炉実験所からのレポートという形で発刊されました。

タイトルは『チェルノブイリ事故から25年:将来へ向けた安全性 2011年ウクライナ国家報告』で、418ページに及ぶ大冊です。以下のサイトからPDFファイルでダウンロードができます。

チェルノブイリ事故から25年:将来へ向けた安全性 2011年ウクライナ国家報告
原著:ウクライナ緊急事態省
監修:今中哲二
監訳:進藤眞人
発行所:京都大学原子炉実験所
発行日:平成28年2月 

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監訳者の進藤様からは、熱心にお声がけいただき、市民科学研究室からは吉田由布子と上田昌文が協力に与りました。この貴重な情報がたくさん含まれている報告書の全訳プロジェウトを無事完了されたことに敬意を表したいと思います。

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