2016年6月アーカイブ

どなたでも無料で参加できる体験会です。目白台公園という素晴らしいグラウンドで、インストラクターの指導のもの、1時間ほど実施します。以下のサイトで詳しい案内をしています。お時間のある方はぜひご参加ください。

ラジオ体操教室・ポールウォーキング教室

2016年7月10日(日)
ラジオ体操教室・・・8:00~9:00
ポールウォーキング体験教室・・・9:00~10:00
場所:目白台運動公園 多目的広場

廃業した銭湯、目白台「月の湯」の貴重な富士山のペンキ絵や、滝登りの鯉のタイル絵、本郷「菊水湯」の看板など、解体前に引取った記憶の数々をお披露目会をいたします。引取の予定があるため文京区内では最初で最後の機会となります。同時に地域における「銭湯の地域力について語り合う」トークも開催。ゆかりのあるご近所の方々を中心に、御参加をお待ちしております。

銭湯でまちつなぎ
月の湯をしのび、銭湯の地域力について語り合う

6月25日(土)15:00-19:00
開催場所:白山の倉庫(文京区白山東京都文京区白山2-19-9)
    後楽園駅から徒歩15分、春日駅から徒歩12分、白山駅より徒歩10分
共催:文京建築会ユース、NPO 法人市民科学研究室、谷根千CBPR 研究会

15:00-19:00 
「 月の湯をしのぶ」お披露目会 
17:00-18:00
「銭湯の地域力について語り合う」トーク

・参加費は無料です。
・トーク時間帯含め15:00-19:00 は、展示備品は自由にご覧頂けます。富士山のペンキ絵は養生がされているため絵をはっきり観ることはできません。収納されている状態での簡易なお披露目会ですので、何卒ご了承下さい。
・トーク参加者の中から10 名様に銭湯券をプレゼント。お帰りの際にはご近所の銭湯にお立寄り下さい。
・お問い合わせは市民科学研究室までお願いします。なるべく事前に参加申し込みしていただ
けると助かります。(電話:03-5834-8328 電子メール:desk@shiminkagaku.org )
・この集いは、谷根千CBPR 研究会ならびにJST(科学技術振興機構)の科学技術コミュニケーション推進事業の助成による、「健康まちづくり講座&カフェ」の一環として実施しています。研究の一環としてインタビューなどデータを取らせていただくことがあります。


チラシはこちら→csij20160625_tsukinoyu.pdf

csij20160625_tsukinoyu_ページ_1.jpg


ad20160625_02.jpg

携帯電話の電磁波を頭部に浴びると脳腫瘍のリスクが高まるのかどうかは、10年以上にわたって論争が続いており、いまだに決着がついてはいません。

インターフォン研究をはじめとする疫学研究は、累積の通話時間が長くなればそのリスクが高まるらしいことを示唆する結果を含んでいましたが、そのことでもって、研究者の多くが「電磁波曝露と発がんの因果関係がほぼ確証された」と考えたかと言えば、そうではありませんでした(そのあたりの事情についてはこのアーカイブスの中の関連記事を参照してください)。

むしろ、「疫学研究でのバイアスや交絡因子を排除できていない」「生物学的メカニズムがわかっていない」「動物実験で明確な結果が出てはいない」......等々の多くの反論や反証が持ちだされ、いくつかの国の代表的な国立研究機関などがまとめた総説的な報告書でも、「因果関係があると認められるほどの科学的証拠は見出されていない」といった結論が示されることが相次いでいました。

ところが、この5月に新しいニュースが飛び込んできました。これまでになされた、携帯電話電磁波を動物個体に照射するという実験としては最も規模が大きく、国際的にも最も権威ある機関によってなされた実験の結果が「クロ」と出たわけです。

米国国家毒性プログラム(National Toxicology Program )は、工業、農業、医薬化粧品、食品添加物等々、化学物質の種々の毒性、とりわけ発がん性に関しては、省庁を横断して様々な試験を行い、試験法・評価法の開発を含めて、その結果が規制政策に反映されることが何度もあった、という、大変影響力の大きい研究プログラムなのです。

今回の携帯電磁波に関するNTPの結果の詳細(最終報告書)はまだ公表されていませんが、以下に訳出した2つの報道記事から、今後大きな波紋を生んでいくだろうことが予想されます。

翻訳記事その1
携帯電話研究により発がん問題が再燃
高周波電磁波の曝露がラットの腫瘍形成に関連

Major Cell Phone Radiation Study Reignites Cancer Questions
Exposure to radio-frequency radiation linked to tumor formation in rats

scientificamerican.com より by Dina Fine Maron 2016年5月27日

PDFはこちら→csijreport_emf_01_20160613.pdf

翻訳記事その2
携帯電話電磁波照射で動物の発がん率が上昇
予算2500万ドルNTP研究が脳腫瘍を発見
政府に期待される健康リスクに関する公衆への注意喚起

Cell Phone Radiation Boosts Cancer Rates in Animals;
$25 Million NTP Study Finds Brain Tumors
U.S. Government Expected To Advise Public of Health Risk

microwavenews.com 2016年5月25日 より

PDFはこちら→csijreport_emf_02_20160613.pdf

*******************************

携帯電話研究により発がん問題が再燃
高周波電磁波の曝露がラットの腫瘍形成に関連

Major Cell Phone Radiation Study Reignites Cancer Questions
Exposure to radio-frequency radiation linked to tumor formation in rats

scientificamerican.com より by Dina Fine Maron   2016年5月27日
http://www.scientificamerican.com/article/major-cell-phone-radiation-study-reignites-cancer-questions/
翻訳:杉野実+上田昌文

 2016年5月27日、連邦政府の研究者らは、2500万ドルの予算がついた研究の部分的な成果を発表し、携帯電話と無線機器から放射される電磁波への慢性曝露が、発がんに関連している可能性があると報告した。前例がないほど多数の齧歯類の個体を、胎児のときから一生にわたり電磁波に曝露させた本研究においては、少なくとも脳と心臓の2種類の細胞において、そのような放射がめずらしいがんの発症に関連しているという、強力な証拠がいくつかえられた。コールドスプリングハーバー研究所の未刊行研究のウェッブサイトで公表されているその結果は、そのような日常的な曝露が人間の健康にどう関連するのかという、議論を再燃させるものともなっている。

 研究を主導したのは、国立衛生研究所(NIH)の下部にある共同研究集団、NTP(米国国家毒性プログラム National Toxicology Program)に所属する研究者である。慎重に較正(こうせい)された高周波電磁波に慢性曝露した齧歯類は、携帯電話を過剰に使用する人間が日常生活で経験する状況をあらく近似したものに相当すると理論的に考えられる。実験動物は特別に設計された室内で、質・量ともさまざまにかえたこの種の放射を、2年間の生涯にわたって1日に約9時間照射された。「これは空前絶後の、もっとも慎重に実施された、携帯電話の生物学的影響評価です」というクリストファー・ポーティアー(Christopher Portier)氏は、本研究の立ち上げに貢献したNTPのもと代表であり、引退した現在でも連邦政府の顧問をつとめている。「人間に問題がおこるといいきるには、もっと研究がされねばなりませんが、ラットでがんが生じたというだけでも大事件です。専門家である私が、懸念するといっているのですよ。」

米国では成人の9割以上が携帯電話を使用している。だが現在の安全指針は主として、長期の低用量曝露ではなく、熱的効果による急性障害に関する知見に依拠しているため、その安全性に関して知られていないことも多い。国際がん研究機関(IARC)は2011年に、高周波電磁波を「発がん性の可能性あり」に分類した。ところがNTPのサイトは、人を対象にした疫学調査によるデータには「一貫性がない」という。がん患者が何年も前の携帯電話使用について、それも端末本体をどう身体にあてていたかなどということを思い出さねばならないので、「記憶バイアス」にもその種の研究は制約されることになる。そんなデータの制約があるからこそNTPは、2009年に動物実験の計画を開始したのである。

 強度の高周波電磁波を照射された数千頭のラットにおいて、まれな種類の脳と心臓のがんがわずかな頻度で発症したが、それは他の要因で説明できるものではなく、むしろ直接的な用量反応関係を示唆していることを、研究者らは発見したのだった。実験環境においてもそれらの発症率は依然として低かったけれども、曝露水準が高まるほど発症率もたしかに高まっていたのだ。脳のグリア細胞腫や心臓のシュワン細胞腫を発症したラットさえいた。ヒトの携帯電話暴露に関する疫学調査でも、これらの腫瘍との関係が示唆されていたことは、不吉というほかない。

 それに対して、照射がされなかった対照群のラットは、そういう腫瘍を発症しなかった。しかし性差による、つまり雄のラットにおいて雌より病変がみられやすいという要因による、混乱もみられる。雄ラットにみられる腫瘍は、この放射を「全身で曝露した結果とみられる」と、論文著者は書いている。シュワン細胞腫瘍は曝露集団でしかみられず、高周波電磁波との関連は、脳よりも心臓の病変においてより強いと思われるとも、著者らはいう。ところが「雌ラットにおいては、照射の強度いかんにかかわらず、脳と心臓の腫瘍に対する、生物学的に有意な効果は観察されない。」そのような点もふまえたうえでポーティアー氏は、単に相関関係が発見されたというだけではなく、放射曝露とがんとの関係が明瞭になったのだと主張する。「これは厳密な因果関係の調査というべきです。本研究ではすべての要因を統制しています。がんは曝露により生じるのです。」

 以前の研究においては、この種の高周波電磁波の照射が、動物での今回観察された種類のがんの発症と関連づけられたことは、まったくなかった。だが、「それは、本研究ほど多数の個体を、長期間にわたり、ときに高水準の曝露にさらした実験はかつてなかったからだ」と、本研究の計画に関与し、現在は引退しているロン・メルドニック(Ron Melnick)氏は述べている。

 ウェッブサイトbioRXivで公表された結果においては、90頭のラットからなる複数集団が対象とされている。ラットが照射されたのは900メガヘルツの高周波電磁波である。ことなる種の雌雄ごとに、1.5, 3および6W/kgの、ことなる強度で照射された集団がおり、別に対照群もいた(最低強度集団はおおまかに、米国の携帯電話会社による基準値である1.6W/kgに相当する)。「1集団にはたった90頭しか動物がいないので、ある傾向がみられたとしても―まあそういう傾向をみいだすのが研究の目的ですが―人間へのリスクを計量する際には下方に推計せねばならないのですけど、それができるからこの研究は有意義であるといえます。高用量でがんをおこすものは、低用量でもがんをおこすけれども、ただしその確率は低くなるということでしょうね」と、ポーティアー氏はいう。

 どの集団に属するラットも、1日のうちのあらゆる時間帯にわたって、高周波電磁波に9時間曝露させられていた(人間が、とりわけ携帯電話をブラジャーに入れて持ち歩くときには、広く頭部以外にも放射がおよぶので、実験動物もまた全身に照射されたとみなせる、とNTP副代表ジョン・ブッヒャー(John Bucher)氏はいう)。実験中のラットは、かごの中を自由に動き、食事も睡眠も通常どおりにすることができた。今日の携帯電話の変調方式である、CDMAとGSMの双方が本研究では採用された(変調とは情報が運搬される方式であり、よって全体の照射強度は両方式でほぼ同程度であるものの、アンテナからの照射のありかた、すなわち、短時間に比較的強度の照射がなされるとか、逆に長時間に比較的低度の照射がなされるとかいう点が異なる)。両方式により照射された動物のあいだでは、腫瘍の発症頻度において統計的に有意の差はなかった。いずれの変調方式でも、またどの種類の腫瘍においても、統計的に有意な上昇傾向、つまり照射がふえるほど発症しやすくなるという傾向がみられた。しかしデータをよくみると、GSM変調で照射された雄のラットにおいては、脳腫瘍の発症数はどの照射水準でみても、対照群すなわちまったく照射されなかった群とのあいだに、統計的に有意な差がみられなかった。「この傾向は重要です。『それは懸念すべきか』というのが問題でしょう。その答えはあきらかに『しかり』です。でも同時に、完全には答えられない、いくつもの疑問もおこってきます」と、公衆衛生医でもあるニューヨーク州立大学環境保健研究所所長デビッド・カーペンター(David Carpenter )氏はいう。

 えられた知見は決定的なものではないし、科学者が説明できない、混乱させられる結果はほかにもある。たとえば照射された雄のラットが、照射されない雄よりも長く生きるとか、いったことがある。「おおまかに、照射はがんと関連するといってもいいと、私たちは思っています」とブッヒャー氏はいうが、そういう未解決の疑問も「また慎重に議論されねばなりません。」

 NTPは27日、『マイクロウェーブニュース』サイトでの先週の発表に続いて、この発見を部分的に公表した。NTPはラットでの類似の他の実験結果にくわえて、マウスでの実験結果も保有している。NIHが『サイエンティフィック・アメリカン』誌に語ったところによると、「マウスとラットの研究は、専門家による審査を受けているところです。以前になされた、人間に関するデータ収集にもとづく大規模研究においては、携帯電話使用による発がんリスク増大について、限られた証拠しか得られなかったことに、注意しなければなりません」。だがNTPが、今回の発見が重大な意味をもつことを、期待していることもあきらかだ。NTPは以前からウェッブサイトで、本研究およびその前になされた研究での実験が、「高周波電磁波の安全性に関して決定的な情報を提供し、人間の健康への潜在的影響を決定するための科学的根拠を強化する」であろうとしている。

 同日のマスコミの質問に対してCTIA無線協会は、「同研究については検討中である」としている。米国食品医薬品局(FAD)・世界保健機構(WHO)およびがん学会をふくむ国内外の多数の団体が、これまでの研究では、携帯電話からの高周波電磁波によって人体への影響が生じると、確定的に示されたものはない、と認定しています」。

 連邦通信委員会(Federal Communications Commission)がNIHの報告を受けて『サイエンティフィック・アメリカン』に語ったところによると、「NTPがこの重要な問題を研究していることは承知しています。われわれはいつもこの問題の規制には科学的証拠を反映させるようにしています。高周波電磁波の規制やその他の政策を修正すべきか、ということに関しても、われわれは連邦の保健・安全専門家の勧告にしたがい続けます」。

 今回の動物実験は、おもにヒトが携帯電話を自分で使用する際の発がんリスクを念頭において計画されたものであり、無線機器の多い職場とか、無線塔近くの職場などでの、より低水準の曝露に対応するものではない。とはいえそういう場合にもまったく応用できないものでもないと、ポーティアー氏はいう。

 本研究を仔細に検討して衝撃を受けた科学者もいる。たとえばカーペンター氏は「私がおどろいたのは、この分野で動物実験を続けることは資金の無駄だと思っていたからです。がんの増加を一貫して示すことができなかった研究は、過去にも多数ありました。今思えばその理由は、この研究ほど多数の動物を長期間飼育し続けた他の研究がいままでなかったから、ということだったのですね」という。

 齧歯類に照射すること自体に問題がないわけでもない。第一に科学者は、ヒトに比較してどの程度ラットが照射されるべきかを、正確に計算できなくてはならない。大きすぎる照射量は人間の状況を近似しない。一方精密に計算された低水準曝露の場合でも、体温上昇で動物が死ぬなどの問題がおきないように、科学者は十分慎重にならなくてはならない(動物の体温についての報告は近日刊行されるであろう)。

 科学者は非電離放射線(携帯電話から電波も含まれる)を動物に照射することもでき、そうされた動物にがんが生じることもあるが、その種の放射は動物の体温を有意に上昇させることはない、という事実は「重要」であり公表されるべきだとブッヒャー氏はいう。
カーペンター氏は、段階的な安全策を個人が講じることができる、という。スピーカーフォン(スピーカとマイクロフォンが一体になった受話器)を使うこと、電話を体につけずに机上におくこと、そしてできるかぎり有線のヘッドホンを使うことにより、高周波電磁波の曝露を抑えることができるであろう。「無線機のなかった時代にもどることはできません。しかしとりわけ敏感な人々が、曝露を減らすためにできることはいろいろあるのです。」

***********************************

携帯電話電磁波照射で動物の発がん率が上昇
予算2500万ドルNTP研究が脳腫瘍を発見
政府に期待される健康リスクに関する公衆への注意喚起

Cell Phone Radiation Boosts Cancer Rates in Animals;
$25 Million NTP Study Finds Brain Tumors
U.S. Government Expected To Advise Public of Health Risk

microwavenews.com  2016年5月25日 より
http://microwavenews.com/news-center/ntp-cancer-results
翻訳:杉野実+上田昌文


携帯電話とがんに関する議論の風向きがまた変わってきた。

携帯電話から放射される電磁波がヒトの発がんリスクを高めることを、米国国家毒性プログラム(NTP)が公表するとみこまれている。GSMないしCDMAの信号(※)に2年にわたり曝露したラットにおいて、発がん率が統計的に有意に上昇したとする、最近の研究が終了したのをうけて、発表がなされるものとみられる。

※GSMとは、Global System for Mobile Communicationsの略で、ヨーロッパで生まれたデジタル携帯電話の通信方式の一つ。日本国内では使われていないが、主にヨーロッパやアフリカ、アジア、オセアニアなど160以上の国・地域でこの方式の携帯が採用されている。
※同じく無線通信に用いられる通信方式の一つで、複数の送信者が同一の周波数を共有し、それぞれの音声信号に異なった符号を乗算して送信するもの。符号分割多重接続と呼ばれる。日本でも用いられている
携帯電話方式のcdmaOneやW-CDMA(3GPP)がこれに相当。

この新発見について公衆にどう評価するかという点については、連邦諸機関のあいだで現在議論がなされている。ほとんどの人が高周波電磁波の放射に常時曝露し、したがって潜在的なリスクのもとにあるということから、この結果はできるだけ早急に公表されるべきであると、NTPの高官はみている。

医師・生物学者・生理学者・疫学者・技術者・ジャーナリスト・政府高官らが主張してきた通説と、今回の新しい結果は衝突する。この通説は部分的には、携帯電話からの高周波電磁波ががんを誘発するしくみが、十分に説明されていないという事実に依拠している。たとえば22日にもミシがん州の医師が『ウォール・ストリート・ジャーナル』に、「携帯電話が脳腫瘍を発症させるメカニズムは知られていない」と書いた。健康リスクについて公衆に警告する必要はないとまで、この医師は発言した。

NTPが示したのは、照射される電磁波の強度が上昇するほど、ラットの発がん率も上昇するということである。この結果を報告されていた信頼できる筋は、「統計的に有意な容量反応関係もあった」と、当サイト『マイクロウェーブニュース』に語っている。だがその効果はマウスではみられなかった。NTPが正式な発表をまだしていないので、氏名は公表しないでほしいと、その筋は語った。ラットが曝露したのは、ふたつの方式GSMとCDMAに属する、強度3段階(1.5、3および6W/kg)の照射である。

驚くべき一致?
重要なのは、曝露したラットにおいて発症率が上がったのが、脳のグリオーマ(神経膠腫、グリア細胞腫)と、大変まれながんである心臓のシュワン細胞腫という、2種類のがんであったことである。照射されなかった対照群のラットには、これらの腫瘍はみられなかった。
グリオーマやシュワン細胞腫を、携帯電話と関連づけた疫学研究は多い。たとえばインターフォン研究が、グリオーマと携帯電話使用に関連ありとしている。

内耳を脳につなぐ神経のような、頭蓋神経を包むさやは、シュワン細胞でできている。そういう細胞の腫瘍は聴覚神経腫とよばれている。つまり聴覚神経腫はシュワン細胞腫の一種である。携帯電話使用と聴覚神経腫の関係をみいだした疫学研究は少なくとも4件ある。
NTPの研究計画策定チームを主導し、現在は引退しているロン・メルドニック(Ron Melnick)は、ある筋から伝えられたという、発表の概要を確認した。同氏が電話インタビューでいうには、「NTPは、携帯電話電磁波が健康に影響しないという仮説を検証しましたが、その仮説は反証されました。実験がなされ、広範に検討された結果、発がん効果はあるという合意がなされたのです」。

「これらのデータは、携帯電話電磁波論争を再定義するはずです」ともメルドニックはいう。携帯電話の安全性は20年以上も論争されているが、議論がとりわけさかんになったのは、国際がん研究所が2011年に高周波電磁波を「ヒト発がん可能性あり」に分類してからである。

「ラットでがん化した細胞が、携帯電話疫学研究で腫瘍化するとされた細胞と同種のものであることは、公衆衛生上非常に憂慮すべきことです」と、同氏はつけくわえた。「もしこれが偶然の一致だとすれば、驚くべきことです」。

NTPによる照射研究は、20年以上も継続されてきたが、NTPにより実施されたもっとも高価な研究でもある。これまでに2500万ドル以上が支出された。

もうひとつ興味深い一致とみるべきはボローニャのラマッチーニ研究であって、そこでは、50ヘルツの極低周波数電磁波に曝露したラットにおいて、心臓シュワン細胞腫の増加がみられた。

研究結果に意を強めるNTP
この結果が公衆衛生に重要な意味をもつと、NTPは国立衛生研究所(NIH)の上層部に警告したが、同研究所はそれに抵抗してさらにきびしい査察をしたらしい。だがデータにも研究法にも重大な欠陥はみつからなかった。

国立環境衛生科学研究所(NIEHS)所長で、NTP所長でもあるリンダ・ビンバウム(Linda Birnbaum)と、NTP副所長ジョン・ブッヒャー(John Bucher)をふくむ高官が、研究結果を支持しているという。この高官らは、この結果の公表は公衆衛生のために必須とみていると、ある筋はいう。

ブッヒャーの前任であったことのあるクリス・ポーティアー(Chris Portier)も、NTPがしたことは正しいとみる。「このデータを一刻も早く公衆と共有すべきであると、私は確信します」と、同氏もインタビューでのべた。携帯電話計画は、同氏がNTPの副所長であったときに推進された。同氏は引退した現在も顧問をつとめている。

拡大関係者会議ののち、食糧医薬品局と連邦通信委員会という、携帯電話による曝露の規制に責任をもつべきふたつの連邦機関が、この結果について先週報告をうけた。これらの機関はまだ態度を明確にしていない。

関係諸機関はいま、NTPの発見に関する発表を、計画している最中であろう。ビンバウム氏もブッヒャーも、その発表がどうなされるかについてはあきらかにしていない。

予期せぬ発見
NTPの結果を知る部外者はまだ少ない。『マイクロウェーブニュース』は今回の結果を、本研究を追跡してきた部外者に伝えたところ、だれもが驚いていた。

実際のところ数年前に公表されたインタビューでは、NTPのブッヒャー自身が、高周波電磁波とがんの関係を示唆する結果は出ないであろうとのべていたのだ。

「この研究で否定的な結果が出ることを、だれもが予期していました」と、ある政府の放射線専門家は匿名を条件として答えた。「加熱効果が除去されるという条件で照射が実行されたとすれば、今回みつかったような効果はありえないといっていた人が、まちがっていたということになります」。(本研究では実際に、照射されたラットの体温は摂氏1度以上上がらないようにされていた。)

「この研究が流れを変えたことはまちがいありません」というのは、オルバニー大学環境保健研究所所長デビッド・カーペンター(David Carpenter)だ。「前からわかっていたことが確かめられました。いまや動物でも人間でも証拠があがっていますが」と、氏はつけくわえる。「NTPは連邦政府に信頼されています。反対者が高周波電磁波と発がんの関連を否定するのはもはや困難でしょう」。同氏の研究所は世界保健機構の協力拠点でもある。

懐疑派の代表者は、国立放射線防護計測評議会会長のジョン・ボイス(John Boice)である。「脳腫瘍と携帯電話の関係については、多くの関係者にとっては解決ずみです。リスクはありません。生物学的なメカニズムが存在しませんし、そういう効果について追試可能な証拠をみつけた、動物実験も細胞実験もありません」と、今月はじめ同氏は『メドスケープ医学ニュース』記者に語った。

そういう見解も根強く共有されており、たとえば2014年夏には、同評議会が疾病予防センター(CDC)に圧力をかけて、「携帯電話に関するファクトシート」から予防的勧告を削除させている。

ボイス氏が無視しているのはたとえば、化学物質によって発がんが誘発されたマウスで、携帯電話電磁波を照射させると腫瘍形成が促進された、という過去の動物実験を確認した、ドイツのアレックス・レルヒル(Alex Lerchl)による昨年の報告である。今回のNTPの実験はといえば、動物の細胞をがん化させるのに化学物質など使用していないのだ。

生物学的メカニズムについていえば、つい2か月前、高周波電磁波の研究では著名なフランク・ベイムズ(Frank Barnes)とベン・グリーンバウム(Ben Greenebaum)が、低強度放射がいかにしてがん細胞の成長率をかえることができるかを説明することができたと発表している。


NTPの高周波電磁波照射・動物実験プロジェクトの経過
1999 FDAが高周波電磁波照射機器をNTPの対象にとりあげる
2001 NTP が高周波電磁波と発がんの関係の研究に着手
2003 NTP が高周波電磁波と発がんの実験への予算を申請
2004 NTP が二回目の予算申請を行う
2005 NTP がシカゴのイリノイ工科大学研究施設(IITRI)と照射実験の契約締結
2007 IT'IS (The Foundation for Research on Information Technologies in Society)
      が作製した曝露実験システムがIITRIによって設置
2009 Ron Melnickにかわって研究責任者をMichael Wyde が引き継ぐ
2014-15 2年間の照射実験が終了
2016 研究結果が出る

6月23日(木)に、「子どもたちとともに向き合う、放射能のこと。未来のこと。~福島『放射能リテラシーワークショップ』にみる放射線教育のかたち~」と題するトークイベントが開催されます。

市民科学研究室の代表理事の上田と、元セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの職員でこのワークショップの事業を一緒にすすめてきた五十嵐和代さんが語り合います。

下北沢の「DARWIN ROOM」という大変素敵な会場で、定員40名です。以下のチラシをご参照のうえ、「こくちーず」からお申し込みください。

参加者の皆さんと議論できることを楽しみにしています。
当日はハンドブック『みらいへのとびら』を頒布することも予定しています。

●チラシはこちらから→ad_20160623.pdf

●「こくちーず」のお申し込みサイトはここから

〈日時〉2016年6月23日(木)19:30~21:30(開場19:00)
〈場所〉下北沢「DARWINROOM」2Fラボ(世田谷区代沢5-31-8)
〈参加費〉 1,500円(コーヒーか紅茶の飲み物付き)・申込制
〈申込〉上記「こくちーず」のサイトから

WSinFukushima.jpg
<主催者(issho-ippo(いっしょにいっぽ) )から ご案内>

子どもたちが、放射能について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自ら判断できる力を養うことを目的に開発された『放射能リテラシーワークショップ』は、2013年から2015年にかけて、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの東日本大震災復興支援事業福島プログラムの一環として実施され、福島県内の小中学生490人が参加しました。

「いつ放射線の影響が出なくなるの?」「食べ物はもう大丈夫なの?」「除染した土はどう処理されるの?」「どのぐらい被ばくしたら、危険なの?」「将来『福島の人』って避けられたりすることはある?」......子どもたちは、放射線の基礎知識を学び、気持ちを話したり意見を出し合ったりしながら、食の安全や避難、報道など放射能に関連する社会問題にも向き合っていきます。

「今すぐ答えや解決策が出ない」けれど「ないことにはできない」放射能の問題。それを子どもたちとともに考える時、大人たちもまたその姿勢が問われます。大人たちは、この課題にどう向き合い、子どもたちに何をどのように伝えていけばいいのでしょうか。

『放射能リテラシーワークショップ』に携わったお二人にプログラム開発の経緯を伺いながら、放射線教育のあり方についても共に考えてみたいと思います。

市民研がすすめていてる「健康まちづくり事業」の一環として、文京区とその周辺地区で、とりわけ「老化に伴う足腰の衰えを予防するのに高い効果が発揮されるのでは」と全国的にも注目が集まる、ポールウォーキングを体験できる機会を、6月以降、いろいろな場所で、月1回くらいのペースで提供します。

20名までの方々なら、ポールを無料でお貸しできます。また、インストラクターの方もつきます。1時間程度でウォーミングアップから始めて、効率的な体験ができます。

日程と場所が決まり次第、このページでお知らせします。
どなたでも参加できます。ご友人との、あるいはご夫婦でご参加も歓迎します。
参加を希望される方は、事前にご連絡をいただけますと、その人のポールをこちらで確保しておくようにいたします。

★日程が決まった体験会★

7月10日(日)午前9時頃から(現在、調整中)
 文京区立 目白台運動公園にて

9月3日(土)午前10時から(現在、詳細調整中)
 文京区立 目白台運動公園にて 「目白台運動公園フェスタ」のなかでの実施

20160327_01.png

polewalking01.jpg

市民科学研究室の「防災と市民 研究会」の6月の定例研究会は、先の日本地球惑星科学連合2016年大会で発表をされた林衛さん(富山大学人間発達科学部・准教授)に話題提供をしていただき、熊本・大分の大地震について、軽食をとりなががら自由に議論を交わします。

どなでも参加できますが、定員を10名とさせていただきます(先着順)。また、参加者には軽食代として500円をご負担いただきます。参加を希望される方は、メールもしくは電話にて市民科学研究室までご連絡ください。

*********************************

市民研「市民と防災 研究会」主催・公開研究会

いかせなかった「地震調査研究推進」の予測結果
―熊本地震被害拡大の原因究明と震災軽減のために

6月18日(土)13:30~16:00
市民科学研究室・事務所にて
軽食代として500円/定員10名

話題提供者:林衛さん(富山大学人間発達科学部・准教授)

2016年熊本地震は、近代以降の被害地震の経験があった地域で、かつ、阪神・淡路大震災以降に政府の地震調査推進本部が活断層調査、強震動、被害発生予測に力をいれてきた地域で大きな被害をもたらしました。過去の経験の蓄積と最新の研究成果から予測されていた被害が確率的に高い精度で予測されていたとおりに生じたにもかかわらず、災害軽減の備えは限られていました。経験、調査研究、政府の施策は、なぜいかされないのでしょうか。災害列島日本社会に進行している「平時の矛盾」の拡大が、自然災害の人災的側面をも広げているのではないでしょうか。有効な震災軽減策をみいだす手立てを追究してみましょう。

<参考資料>
林 衛:2016熊本地震から浮かび上がる新たな「想定外」生成のしくみ
同:地球惑星科学における批判的思考力の「抑制」
同:防災教育の観点からみた石巻市立大川小学校被災
上記3点は,2016年5月の地球惑星科学連合大会での最新報告資料

平田 直:首都直下地震,岩波新書(2016)

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.35-ja

このアーカイブについて

このページには、2016年6月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2016年5月です。

次のアーカイブは2016年7月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。